姑獲鳥の夏

姑獲鳥の夏』を読み終えた。五大奇書候補だけあってミステリーとしてはちょっと反則。どちらかと言えばサイコスリラー。
タイトルからして妖怪とか江戸時代っぽいのかと思ってたけど時代は戦後で量子論なんかも話にでてくる。なかなか本題に入らずにそういういろんな知識の話が続くのだが、ミステリー嫌いな私にとってはそのほうがありがたい。
話の肝はネタばれになるからぼかして書くけど、見えるとか見えないとかいう点が『ドグラマグラ』の裏返しっぽいし、最初のうちは事件が起きたのかどうかも分からないので、その点で『虚無への供物』を彷彿させたりもした。『黒死館殺人事件』は読んでないけど、いろんな知識を詰め込んであるところはこれが元かもしれない。こんな風に感じたのも五大奇書候補として読んでいたせいなんだろうけど。
五大奇書としてどうなのかというと、これは四大奇書の上に成り立っているから五大奇書としては認められないんじゃないかと思う。少なくとも私が読んだことのある他の二作品にはお互い共通点が全く無かったから。


この作品では主人公が事件の核心にずっと関わっていたんだけど、そうすると探偵だけ共通している他の作品はどうなっているのか少し気になった。でもこの作品の真似はもうできないから全く違う構成にしなきゃいけないよな。