Xファイル:真実を求めて

2日目の土曜日の夕方だというのに渋東シネタワーのXファイルの階はガラガラだ。飲み物の持ち込みがいいのかどうか分からなかったけど、どこにも禁止とは書いてなかったのでエクセルしオールでアーモンドキャラメルラテを買って入った。甘いだけなのでエスプレッソをワンショット追加すれば良かったかも。始まる直前にすぐ前の席に背の高い人が座ってよく見えなかったので隣に移動したけど、ちょうどXファイルでおなじみの地名と時間の字幕が頭の陰になってしまう。


FBI捜査官が失踪し、自称サイキックの神父が切られた腕を発見。もう超常現象に対応できる人のいなくなったFBIがモルダーとスカリーに捜査の協力を依頼するという話。ちなみにテレビシリーズでは軍に捕まったモルダーが軍の裁判にかけられスカリーと共に脱走して終わっている。その件は帳消しという条件で捜査に参加するんだけど、それは無理じゃないかとも思ったけど気にしないことにする。

二人とも老けたなぁ。スカリーはホリー・ハンターみたいになってるし、モルダーはトラボルタみたいな顔つきと体型になってる。

久々のFBIのオフィスは変わっていない。でもセキュリティは厳しくなったようで部屋に入るのにキーカードがいるようだ。ドゲットやモニカやスキナー副長官はいないみたい。
スキナーは終盤のここぞというところででてきたのでちょっと安心。相変わらず頼りになる。スキナーがまだFBIにいるということは陰謀も影をひそめたということなんだろうな。
ちなみにスキナーは外見が全く変わってない。

テレビシリーズでもよくそうだったように現場のモルダーと病院のスカリーとに分かれて捜査するんだけど、今回スカリーは普通に医者をやっていて難病の子供にかかりっきりなのが違う点だ。検死もしない。そこでまだ真実を求めているモルダーと現実的なスカリーとの超常現象とは違った軸での対立が描かれる。スカリーはテレビシリーズの終盤では超常現象に否定的では無かったからこうしないと上手く対立させられなかったのかもしれないな。
ちなみにその難病の子供が事件に深く関わっていたという展開なのかと思ったけどせいぜいヒント程度で終わった。


事件の内容はこれ以上書かないけど、結局政府の陰謀でも異星人による誘拐や入植でもなく、(Xファイルとしては)ごく普通の事件だった。『海の彼方に』を中心に『休息』とか『アンルーヘ』とか『プロメテウス』とかの要素が混じってる感じ。これらのエピソードと一緒で超常現象は控えめだけど科学のフィクションはちゃんと入ってる。
詩篇25:2がさりげなく語られるんだけど、その数字が後で意味をなしたときに、最近CMで連呼されてる映画の252を思い出させた。予知能力者や偶然の一致にスカリーの意志に反して現実になるエピソードが幾つかあったせいで、その『宿縁』が映画の外にまで繋がっているように感じられた。もちろん偶然なんだけど。

でもテレビシリーズに比べると映像は綺麗で、テレビではあまりなかった雪の中のシーンも綺麗だし、モルダー視点、被害者視点、犯人視点、スカリー視点を頻繁に切り換えるおかげで退屈しない。ちゃんと映画のクオリティになっている。前劇場版よりも話のスケールは小さいけど完成度は高いな。


事件の真実以外の真実(異星人関連)は何も明らかにはならなかったけど、これはこれで人間ドラマとしてのXファイルはちゃんとハッピーエンドで終わったなという感じはした。下手に異星人ものをやるより満足できた。


異星人ものとしての結末が気になるなら『V(ビジター)』とか『ボディスナッチャー』とか『アライバル 侵略者』みたいな展開になると思うのでそれらを見ればいい。間違っても『ET』や『エイリアン』にはならないだろうな。せいぜい『インディペンデンスディ』だ。


観終わったあとで気付いたんだけど、終盤モルダーが襲われる直前携帯でジリアン(スカリー役)にかけようとしてなかった?