ホルテンさんのはじめての冒険

チラシを見るとトラブルに巻き込まれるコメディタッチのロードムービーみたいに見える。太った犬抱いてるし。でも監督のベント・ハーメルは『キッチン・ストーリー』を作っただけあって悲哀みたいなのが感じられるかなり真面目な映画。チラシの裏の写真にある登場人物たちは写真だとみんな大きく関わりそうに見えるけど何人かはちょっと話をするだけだったりする。さらにロードムービーでもなくて定年後家から出ては何かちょっとしたことに出くわす話だ。
トンネルを抜けるとそこは雪国という映像をノルウェー映画で観るとは思わなかった。
真面目な運転士が定年の日に遅刻するのはいいけど、それが見つかったとたん逃げ出してしまうというのは全く予想外の展開だ。それで引きこもったりもする。それから物を少しずつ無くしていったり、ちょっとした事に出くわして逃げ出したりと結構ひやひやさせられる。おそらく主人公の真面目さは何かあった時に自分で対処できないから何事も起こらないように気をつけた結果なんだろうな。でも時々思い切ったこともするし、最後には勇気を出す。
観終わった後の若い人の感想が聞こえたけど、やっぱりポスターの印象ほど面白くはなかったようだ。ところどころ笑えるシーンはあったんだけどハリウッド映画みたいに見せ場の連続というわけではない。見ようと思ってる人はこれはコメディというにはしみじみしすぎているので気をつけよう。私はもっと地味なキッチン・ストーリーも気に入ってたので、それにこっけいさと笑いが加わって期待以上だったけど。


ちなみにこれはノルウェーの映画。どうもノルウェースウェーデンフィンランドの文化的な違いが分からないな。アキ・カウリスマキ監督はフィンランドか。ということはスウェーデン映画は見たことないのか? 私は。いや、調べてみたら『処女の泉』は観てるな、ずいぶん古いけど。
あぁ、『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』もスウェーデン映画か、これは面白いしいい映画だった。
そういうのしか入って来ないせいかもしれないけどスカンジナビアの映画はいい映画ばかりだな。