ミスト

先週行きそびれてたミストを観てきた。映画館は池袋のシネ・リーブルだったんだけどスクリーンが小さいな。やや後ろの席だったんだけど家のディスプレイをパソコンデスクで観るほうが視野を広くカバーしてるかも。音はいちおういろんな方向から聴こえるけど、ただ右後ろのスピーカーから鳴ってるって感じで音の中にいる感じはしなかった。観客も少なくて前半分はガラガラだ。
同じ監督の他の代表作は作り込まれた感じの画面だったけど今度のは手で撮った感じのするちょっと揺れる映像だ。そのせいで突然異常事態に巻き込まれたという感じが強く出ている。嵐のシーンもあっと言う間ですぐにスーパーで霧に閉じ込められた。
原作の途中経過は覚えてないけどたぶん忠実だろう。とてもキングっぽい話の運びだ。出てくるクリーチャーはなんだかCGCGしてたりするところもあるけど安っぽいというほどではない。基本的に昆虫ベースのデザインで、蜘蛛なんかは糸が強力すぎるところを除けば普通に蜘蛛だ。グロいな。
原作での最後に出てくる巨大な生き物もちゃんと出てきた。でも問題はその後だ。ショーシャンクの空にでも原作が書かずに希望だけ持って終わっていたのを映画では最後までしっかり撮っていた。原作の『霧』もそんな希望を持てる感じで終わってて、映画でもやっぱりその先をしっかり撮っているんだけど、それが今までどの映画にも無かったくらい後味の悪い終わりかたで、ショーシャンクの空にとは正反対って言っていい。同じ劇場で観てたほとんどの人はクレジットが終わるまでずっと夢オチを待ってたんじゃないかと思う。クレジットの音楽が終わったあともずっとヘリや車が通りすぎていく音が聴こえていたのでいかにも最後に何かありそうだったから。でもこれが何もなくってみんな無言で映画館を立ち去った。


ラストは原作通りの後にハッピーエンドを付け加えたとしても安直なだけだからあれで仕方ないとして、映画全体について言えばB級ホラーって感じかな。スーパーの隔絶された環境での人間ドラマに対して、外にいる何かがとてもB級。その間に霧がある。


そういえば冒頭で主人公が描いていたのはどうみても暗黒の塔のポスターだ。塔にガンスリンガーに薔薇だから間違いない。映画のポスターを描くのが仕事ということだから、この世界では映画化されるところだったんだな、うらやましい。あと分かる限りでは後ろに遊星からの物体Xのポスターがあった。左は端のも気になったけど何かは分からなかったな。